(旧暦 文月六日、眠り流し)

 まさか、ここに来て二頭身のレベル1が大活躍するとは!
 しかも、その伏線は序盤(第一話だっけ? 第二話だっけ?)に、しっかり張られてあった。

 始まった当初は「何だ、このガラットは?」と思ったものでした。レベル1からレベル2への変身は、まさに『超力ロボ ガラット』みたく面白いものの、「仮面ライダーか?」と問われれば返答に窮する(笑)。
 でも、やっぱり物語はストーリが肝心ですね。回を追うごとにグングンと加速していった。わりと早いうちに永夢と貴利矢が信頼関係を築き、そのうえで貴利矢の早期退場。これもストーリに速度を与えました。
 ライダーそれぞれの過去も、ちゃんと掘り下げられてましたし(永夢についてのみ不満があるけどね)。その過去を受け入れての、皆での共闘というのも、あちこちの作品で「何か気づけば仲間になってた」という演出に飽き飽きしていた身には嬉しかったです(ニコは個人的には大嫌いなキャラだが、大我の行動に必要な“動機”だから、否定はしない)。パラドの禊ぎも、そう。
 前半の悪役担当だった黎斗、終盤の大悪役である正宗、ともに良い味出してくれました。復活してからの黎斗は「ちょっとアブナイ発明おにいさん」って感じの便利キャラになってしまっているのが、子供には判りやすいものの少々乱暴ですがね(難関があっても、すぐに黎斗が攻略アイテム作っちまうからなー)。一方の正宗は一切ブレない悪人で終始したことに拍手です。お見事でした。こーゆー悪役は大切ですよ。

 消えたポッピーとパラドがエピローグで復活するのは、お約束。
 ですが、ゲーム病で消滅した人々は戻らない、という点が斬新でしたね。この手の展開では最後、ラスボス退治と同時に犠牲者全員復活の大団円という台本がデフォですから(昭和は本当にそうだったし、平成でも多い展開)。でも『エグゼイド』では、それをやらなかった。そのうえで、人々が「死んだ」のではなく「病気」だと解釈して「いつか治療する」という形で締めたのは、医療現場を舞台とした仮面ライダーに相応しいと思います。消えた患者の名前すべてを憶えている永夢、本当に立派になって……。

 不満というほどのことでもないのですが。
 飛彩の闇墜ち期間は、もう少し長くても、つまりもう少し早くから堕ちてても良かったかなと思います。何となくバランス的にそう感じる、って程度のことですがね。
 あと、グラファイトを最期に潔い武人として描くなら、普段から、そういうキャラとすべきでした。それまでが単なる野蛮な殺戮者だったからなー。

 で、こちらは大不満。
 クロノスを倒すシーンが4対1ってのは、あいかわらずの集団リンチぶりで困ります。多人数のライダーで一人にかかるのは、あの“大怪獣”状態のときだけにすべきですよ。教育上、よくない。
 そして何よりの不満は、永夢の過去を映画のみで描いたことです。しかも、「本当の完結は映画で!」という煽り文句で完結編映画まで出してくる。商魂たくましいのも結構ですが、節操がないですね。過去については、いちおう本編でのフォローはありましたが、それでもストレスは解消しません。ゲーム病を発症しそうですよ(苦笑)。

 例年、本編内で新旧ライダーの顔合わせがあるのですが、今回はなかったですね。ビルドが会ったのはゲンムのみ。けっきょく先輩と後輩の両方に対面したのはゲンムだけ。これもまた斬新でした(笑)。
 完結編劇場版はともかく。Vシネマ全三話って、またやってくれますね。しかも黎斗が大活躍? 大暴れ? するようで。

 レベル1から2への完全変形を再現した玩具とか出ませんかねー(変形玩具自体はあるものの……あれは、ねぇ?)。
 サイコガンダムよりは難しいけど、Zガンダムよりは簡単な気がするのですが。
 などと無責任に言ってみる♪