朔 (旧暦 文月朔日)

 『青の騎士ベルゼルガ物語』
 『青の騎士ベルゼルガ物語 上』
 『青の騎士ベルゼルガ物語 下』
 『青の騎士ベルゼルガ物語 『K'』』
 『青の騎士ベルゼルガ物語 絶叫の騎士』
  はままさのり/朝日文庫

 ワンコインフィギュアを一緒に写したかったのに、どこ仕舞ったか判らん(汗)。


 あくまでも個人的にはですが。
 ソノラマ文庫は当初、アニメのノベライズ用レーベルとしてスタートしたのではないかという印象を持っています。レーベルの最初を飾ったのが『宇宙戦艦ヤマト』でしたし、今はスニーカーに籍を置く『機動戦士ガンダム』も、ここが初出。まあ、一般的にはラノベの、ほぼ先駆者レーベルという解釈でしょうが。
 で、↑の四冊も妖之佑の説の根拠となっているタイトルです。もちろんご存じのとおり、アニメ『装甲騎兵ボトムズ』の外伝作品。
 まだ黄緑色の背表紙時代ですから、ソノラマ文庫の中でも古参のはずです。十年ほどのちに背中の白い新装版も出ましたが、朝日ソノラマ解散によって入手不可となりました。オクでも古本が、けっこうな取り合い合戦だったと思います。
 そんな、半ば伝説的ともなりつつあったタイトルがソノラマ編集部の移籍先、朝日新聞出版の朝日文庫から復刻。これは、ありがたいことです(実は、まともに読んでなかった)。

 外伝なので、キリコたちのストーリとは関わりがありません。一方で、ワイズマン、クエント、異能者は『ボトムズ』世界では避けて通れないため、絡んできますけどね。
 内容としては「上」と「下」で一つ、「K'」と「絶叫」で一つ、合計二つの話となります。
 百年戦争の停戦によって軍からあぶれた、と言うか見捨てられたAT乗りの主人公がバトリングで生活する中、巨大な陰謀を持つ闇の組織と関わってしまう。そんな物語です。
「上」&「下」では、ATはアニメ本編に準じた扱いをされており、本編のファンでも楽しめます。バトリングの描写は圧巻ですし、バトリング向けのATカスタマイズも面白い。唯一、ラスボスである「黒いAT」関連のみ異質ですが、これまた著者氏が脚本を担当なさったOVA『ビッグバトル』に登場したエクルビスの同類と考えれば、許容範囲でしょう。
 続編となる「K'」と「絶叫」では、ATの扱いがガラリと変わります。て言うか、もはやATではないですね。なるほど、これはアニメ派と青騎士派とでAT談義が成立しないわけです。何せ、まったくの別物ですから。純粋に物語としてはアリですが、『ボトムズ』世界のものとして考えると少々やりすぎましたかね。アムロとシャアが闘っている世界に、いきなりドモンが登場するくらいの違和感があります(笑)。

 著者氏、これを書かれた当時まだ二十歳チョイだったようで。
 凄いですね。