十方暮入 (旧暦 卯月二日)

「まるニャ」って……実に古風な手法で所有権を(笑)。

 二体さま、怖すぎるっ!
 中途半端な知識で、まじないに手など出すべきではないですよ、本当に。





 優秀な人たちが次々と“退場”してくけど。
 調査兵団、大丈夫なのか? この先、組織を維持できるのか?

 相変わらず、上官たちの最期がことごとく残酷で……鬱になりそうだ。強くて格好良い人たちが最後に泣き喚くのがね、本当に観てて辛い。
 いやまあ、城跡に籠城したときから、104期生以外は、やられると思ってましたけどね。それがパターンっつーもの。
 ウザいよなぁ、あの毛むくじゃらの子安巨人。

 ソバカス女が変身しちまったのには、びっくりです。超大型と鎧と女形以外に、まだ、いたのか。
 しかも、予告編で観ると、かなり小型ですね。その小柄さを武器に闘うスピード・タイプのようで……つか、あれだと立体機動装置着けてるのと変わらねえや。
 巨人になれるソバカスがコニーを気遣って一芝居打ったってことは、あれですね。あの仰向けになって動けなかった巨人の正体は確定ですね……怖っ。

 そのソバカス女。
 変身する前から、メチャクチャ重要な鍵を提示してくれました。

 ガサゴソと腹の足しになりそうなものをあさってたソバカスはニシンの缶詰を見つけて「ニシンは好みじゃないが」と言ってました。ところが、その缶詰の表記を「結婚しよ」男は読めなかった。壁内の文字ではなかったということ。これはまあ、ソバカスが最後に巨人化したことからも、壁外から来た女であろうということなのですが。ああ、そう言えば酒のラベルも皆に読めない文字でしたな。
 でも実は、重要なのはそこじゃない!
 ニシンってのが我々の知ってるあの数の子のニシンなら、海水棲の魚となります。壁内に海なんてありませんから、そのニシンは壁外の海で獲れたものに違いありません。で、壁外産ニシンが壁外の文字を表記した缶詰になっている。缶詰はまだ食べられそうなので、百年前の物ってことはないはずです。つまり、人類が壁内に閉じ籠もってからの後世、調査兵団の壁外調査よりもっともっとずっと遠くの世界には、少なくとも漁業を営み缶詰やガラス瓶を作れるだけの工業を持つ文明社会が存在するということ。そして、その文明は巨人にやられていないということ(まあ、ごく最近に滅んだという可能性もあるが、少なくとも数十年は巨人に滅ぼされずにあったのは、まずまちがいない)。
 で、もっと重要なのはこれから。
 壁内で生まれ育った者がニシンを知っているとしても、それは知識のうえだけのこと。つまり図鑑で見たとかのレベルね。ニシンの好き嫌いを言える程度に食べたことのあるソバカスはともかく、ニシンの缶詰なる代物をすんなりと受け入れた「結婚しよ」男も、実のところは壁外世界を知っていることになるのですよ。だって、普通なら「ニシンって何だ?」とか「ニシンって喰える魚なのか?」とかの反応するはずでしょ? なのに「結婚しよ」男はニシンが食糧であることに何の違和感も疑問も抱かなかった。要するに、「結婚しよ」男も壁外から来た。そうでなければ辻褄が合わない(文字が読めないってのは芝居の可能性があるね。スパイなら当然のこと)。

 あの城跡を「ならず者が根城にしてたんだろ」とか誰か言ってましたが、酒瓶や缶詰から推理すると、あそこで寝起きしていたのは、ならず者はならず者でも、壁外から来たならず者に違いない。
 つまり、あそこは変身前の子安巨人が使っていたキャンプ地なんじゃないかと。そう考えるのが妥当だと思いますよ。

 ここまで考えると、酒瓶と缶詰を作った文明は今もって健在でしょう。なぜなら、子安巨人は巨人たちに命令できますからね。
 つまり、酒瓶と缶詰を作った文明は巨人をコントロールしている可能性が極めて高い。であれば、滅んでるはずないでしょ。

 閉鎖された空間にのみ生存していると思われた人類。が、実は“外の世界”があったってことか。
 SFには、よくある話ですがね。
 それにしても意外な展開だな。やられました。

 ふーむ。エレン一家の素性は、どうなんだろ?
 少なくとも父親は何かを知っている風でしたから、父親だけは異邦人かな?