実を申しまして。

 お顔とお名前は、かなり前から存じ上げているにもかかわらず、『ツィゴイネルワイゼン』などなどの著名作品を観たことがないのですよ。
 氏が手がけられた作品で、きちんと観たものと言えば『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』くらいなもので。これとて、監督名を知ったとき「はぁ?」と思ったものです(失礼ですよね)。後に知ったのは、TVシリーズ『ルパン三世』第二期のスタッフでいらっしゃったそうで。その縁で映画三作目の監督ということだったのですね。
 ただ、このおかた、俳優としてのお仕事もかなりなさっており、妖之佑としては、そっちで存じ上げていたというのが正しいところなのですよね。それぞれの作品での監督以下が気を遣っていたというのはあるかもしれませんが、それを差し引いても芝居の上手いかただと思います。
 中でも印象に残っているのが、Vシネマ作品『パチンコ グラフィティ』(布川敏和さん主演)の、フィーバー台を一日五百円しか打たない常連客の爺さん役(五百円だけなら、せめて羽根モノにしとけよ、ですよね)。何と言うのか、平凡で淋しげなご老人を自然体で演じておられた。そっくりな俳優専業の別人なんじゃないかと何度も思ったものでしたよ(笑)。

 鈴木清順監督の御冥福をお祈り申し上げます。





 ……なんかサー、昭和の偉人が恐ろしい勢いで次々と旅立ってく感じだなぁ。