(旧暦 長月廿一日)

 トヨタとスズキが握手した件。
 ずっと考えてたけど、よく判らないんですよね。

 いえ、スズキの思惑は何となく判らなくもないです。
 要するに、あの会長が欲を掻いたということでしょ。

 対するトヨタの考えがねぇ……。
 トヨタは、ご存じのとおり日野とダイハツ、さらにはスバルをも抱えています。スバルは別としても。大型貨物の日野と軽自動車のダイハツを傘下にしているだけでも、国内の自動車市場に完璧に対応できる体制と言えるワケ。
 なのに、ここにきて、なぜスズキと?

 ひょっとして、日産が三菱自動車を傘下にしたことが影響したのかな?
 日産は大型貨物専門であるUD(旧・日産ディーゼル)を仲間に持ってはいるものの、軽自動車については何もノウハウがなく、もっぱら他社から供給を受けるのみだった。それが、不祥事の連続コンボでHPごっそり削ってしまった三菱を日産が取り込んだことで、日産自ら軽自動車市場を掌握できる体制になりかねなくなった。
 それまで軽自動車の分だけアドバンテージがあったのが、これで守備範囲だけで見れば日産がトヨタと対等になる。そこがトヨタとしては我慢ならなかった? で、ダイハツよりさらに上を行くスズキに目をつけた? 三菱の軽とダイハツでも勝負は見えていると思うけど、スズキになれば、その差は歴然。圧倒的有利となるのは、まちがいない。
 そういうことかな?

 これってダイハツにとっては気が気でない状況なんじゃないですかね。
 スズキの会長は「業務提携であって、資本提携(≒傘下に入ること)はない」と明言してましたが。本音かどうかも判らないうえに、トヨタの腹の内は、もっと判らない。
 ぶっちゃけ、軽自動車メーカーとしてはダイハツよりスズキが上という判断で、トヨタがスズキを欲しているとしたら。早晩、スズキがトヨタ組に入り、ダイハツは捨てられこそしないもののブランド名がフェード・アウト的に少しずつ消えていくのかもしれませんね。
 プリンスが日産に吸収されて消えたのは、お上のお達しによる政治的な強制でしたが。
 アイワが親会社ソニーによって潰されたり、まさかと思っていたサンヨーがパナの陰謀によって葬られたような事態が、また起こらないとは言いきれますまい。