(旧暦 長月十日)

『Thunderbirds Are Go!』

 フッドがGDFに逮捕・収監されて第一シーズンが終わりましたね。2クール分を一年以上かけて放送というのは、さすがNHKと言いますか(苦笑)。
 妖之佑は旧作『THUNDERBIRDS』の大ファンですから、どうしても今作『Are Go』については不満が出ます。とは言え、一時間枠だった旧作に対して、今作は三十分枠。登場人物たちの描写が軽いとか、事故に至る経緯が乱暴だとか、救助活動が雑だとか、組織の秘匿がザルだとか、GDFって何やねんとか、S号要らんやろとか、あれこれ比較批判するのが、そもそも無理な話かもしれません。
 三十分作品として観るなら別に駄目なレベルではなく、ちゃんとした作品だと思います。CGも丁寧ですし(英語音声で判ったのですが、人物の口の動きが台詞としっかりシンクロしてますね)。
 少なくとも旧作を知らない人には、問題視されることなく受け入れられたんじゃないでしょうか。
 それでも……旧作と比べちまうんだよなぁ…………。(;^_^A

 1号の発進ベイにある、あの“レモン絞り器”に代表されるように、『Are Go』のスタッフは旧作に対して、かなりの敬意を持って仕事をしていると思われます。
 河森正治さんにデザインを依頼したというS号(あれ、しっかりガウォークにもなる♪)を除けば、1〜5号やポッド・メカのリ・デザインには無理がなく、旧作当時のSF考証を現代のそれで補完したという感じアリアリで好感が持てました。4号や、水平飛行時の1号でパイロットが下側を目視できるのは、大幅な改善項目。2号の主翼が折りたたみ式になったのも同じく。5号の大幅なデザイン変更も人工重力を考えれば当然の結果でしょう。3号を旧作より小型化したうえに作業腕を追加したのは、お見事、やられました。現場の判断で臨機応変な組み立て式のポッド・メカは言うに及ばす。

 特に敬意が感じられたのは第22話ですね。
 旧作でも、クレイトン=ワード邸に入った泥棒二人組は、盗んだ FAB-1 に逆に酷い目に遭わされてましたが。
 何より、レディ・ペネロープを訪ねたシルヴィア大おば様が圧巻でした。
 旧作を知る者にとって「シルヴィア」という名は特別です。旧作のプロデューサーであったアンダーソン夫妻の嫁さんのほうがシルヴィア・アンダーソンさんなのですよ。つまり旧作への敬意を込めて、大おば様は「シルヴィア」と命名されたわけです。
 で、そのシルヴィアさんがシルヴィア大おば様の声を当てられたそうで。それを受けて日本語版では、あの黒柳徹子さんが大おば様の吹き替えを担当なさった。
 この意味が判りますか?
 ご存じのとおり、黒柳徹子さんは旧作にてレディ・ペネロープの吹き替えを担当なさっていた。そして実は、シルヴィア・アンダーソンさんは旧作にてプロデュースの仕事だけでなく、レディ・ペネロープの声も担当なさっていた。
 つまり。
 第22話のレディ・ペネロープとシルヴィア大おば様との2ショットは、実は新旧レディ・ペネロープの共演という一大イベントだったのです! それを理解して日本語版でも黒柳さんを起用、その共演を実現させたワケ。スタッフの強いこだわりがないと原語版のこの企画は立案されなかったでしょう。同時に、日本語版スタッフも良い仕事しましたね♪

 いろいろあって5号の頭脳として居場所を得た人工知能イーオス。その吹き替えが萌え声すぎると話題になりましたが。
 あれも、原語版で聴くと同じく萌え声……というか子供っぽい声だったりします。欧米の作品でAIの声となると、以前は男女ともに、いかにもオペレーター然とした冷静冷徹、そうでなく親しみがあっても大人の声だったものですが。これも日本アニメの影響なんでしょうか(笑)。

 第二シーズンは鋭意製作中でしょうし、第三シーズンも製作自体は決まっているとのこと。
 GDFに捕まったフッドが脱走するのか。フッドを越える悪党が出てくるのか。そして、ジェフ・トレーシーは登場するのか。
 NHKが極端にのんびりなので、視聴者も気長に待ちましょう(いや、放送してくれるよな? 地上波で放送してくれるよな?)。