(旧暦 如月六日)

 阿頼耶識システムについて少しだけ考てみる。

 チョコの人がガリガリに「本当の阿頼耶識を教えてやる」みたいなことを言ってましたっけ。で、蓋を開けてみればMSになったアインの姿。
 つまり。
 本来の阿頼耶識システムとは、鉄華団の面々みたく脊髄にプラグを取り付けるものではなく、人の頭脳(のみ)をMSのパーツとすることなのではないかと。手足なんか要らない、偉い人にはそれが判らんのだと。黒幽霊団の 0011 や 0012 みたいなものですね。
 となると、厄祭戦を終わらせるために導入された七十二体のガンダムすべて、パイロットは脳だけだった可能性が高いということにならんか?
ギャラルホルンが人体の機械化に対する嫌悪感を意図的に民衆に植え付けた」とするチョコの台詞は真実でしょうが、その真意はギャラルホルン自身、阿頼耶識システムを記憶から葬り去りたかったんじゃないかな。戦争を終わらせるためとは言え、あまりに非道で悪趣味な技術だったゆえに。
 ガリガリの家に代々、家宝として伝わってきたキマリスは、だから終戦直後にでも隠蔽する意味で通常のコックピットを取り付けられたのかもしれません。
 そこまで考えたところで思い出すのが、ガンダム・フレームの姿です。装甲で覆われつくした海賊版グシオンを除き、三体とも“背骨”と呼びたくなる腰のパーツが剥き出しになっていること。あのグロさって、本来の阿頼耶識を示したデザインだったんじゃないかと、今になって思えてくるんですよね……。

 さらに推し進めて。
 人の脳とMSを直結、すなわち脳にMSという強い体を与える場合、当然のことリスクを考えねばなりません。
 そう、脳だけになった人の意思が指揮下から離れるリスクです。言うことを聞かない自律型の最強MSは最凶になっちまいますからね。
 予防策は二つ。
 一つは、外部から強制シャットダウンできる命令コードを指揮官に与えておくこと。ただし、この場合は戦略に影響するので、実用的とまでは言いにくい。予防というよりも、不測の事態に備えてのブレーカーですからね。
 もう一つは、脳をMSに組み込む前に、命令に逆らわないようにしっかり躾けておくこと。催眠術でも洗脳でも薬物でもいいし、ロボコップみたく脳とボディをつなぐインターフェースに禁則事項を組み入れておくのでもいい。
 妖之佑は気づいていなかったのですが、巷の感想を拝見すると、ガリガリに挨拶したMSアインは生身のときと呼びかけが違っていたそうで。ずっと名字で呼んでいたのが名前になっていたとか。これが洗脳の影響かもと言われてますよ。て言うか、あんな状態では強めの洗脳かドラッグくらいやっとかないと、精神崩壊して使い物にならなくなるに決まってます。

 うーん……。
 ガンダム・シリーズの中では、DG細胞を越えるえぐさだわー。