(旧暦 霜月五日)

 ちょいと前のこと。輸入SUVの車検をする際、助手席側前端に設置義務のある補助ミラー(「サイドアンダーミラー」と言うそうな)がないにもかかわらず車検に合格させたということで検査官が捕まった事件がありましたね。
 それ以前から、ミラーを単に貼り付けて車検を通し、すぐに外すという不正行為を業者がやっているのは、かなり多いらしく。理由は、車のオーナーが「格好悪いから付けないで」と注文するからだとか。

 まず言っておきます。
 不正はダメです。仮に悪法であっても、法は法です。破れば罪になります。

 次に言っておきます。
 サイドアンダーミラーは大柄なSUVの死角を減らすためのアイテムなのですから、付けないことはハイ・リスクとなります。道端に転がった漬け物石に乗り上げてボディを傷つけるのは、てめーの勝手ですが。もしも子供を巻き込んだりすれば取り返しがつかない事態となります。
 安全を無視して外見を優先する人は、どこぞの空き地でも借り切って、そこだけで運転してください。公道には絶対に出ないでください。

 そのうえで。
 あのサイドアンダーミラーは、はっきり言って格好悪すぎます。
 昔々パトカーなどのノーズ先端に付いていた交差路で前方左右を見越すための三角形と言うかオニギリみたいな形をした補助ミラーよりも、格段に格好悪いです。
新車情報』で辛口な批評をしておられた三本和彦さんは「雨上がりの毒茸」とおっしゃっていましたね。その必要性は認めながらも、デザインを何とかできないのかとメーカーの人にしつこくしつこく要求しておられたものです。
 もしも『新車情報』が今でも続いていたなら、三角表示板のトランク内収納スペース(要は凹み)や、リア・ハッチ内側の取っ手(閉じるときに外側を触らないので手が汚れにくい)などと同様に、あるいはミラーも改善されていたかもと思うと残念ですね。

 ともかく。
 いい加減、メーカーや正規輸入会社は、サイドアンダーミラーのデザインを真剣に考えるべきだと思います。あそこだけが取って付けたような外観では、今後も同様の事例が続くと思います。それは死角を放置した車が公道を走るという無責任な状況が続くということです。怖いですよ。
 やればできるでしょ、やれば。

 今はカメラとモニターでも良いそうですが。
 気持ち的に、直接目視できないものは、何となく信用できません。(;^_^A

 て言うかね。
 フェンダーミラーを復活させませんか?
 あれ、ドアミラーよりも死角が少ないうえに、少しの眼球移動で確認できるのですから、良いことばっかです(言わんでも判ってると思うが、助手席側のドアミラーを見るには目玉か首をかなりの角度に動かさないといけない。それってつまり「脇見運転」なのだが……)。
 今さらドアミラーを廃止しろとまでは言いませんが。運転席から角度調整できるフェンダーミラーくらい選択肢に入れてほしいです、高級車でなくともね。
 デザインをきちんと考慮したフェンダーミラーにサイドアンダーの性能も付加する。できるっしょ?



 その昔、いすゞがピアッツァを出したときに、当時の法律に従ってフェンダーミラーを付けたことに、デザイン担当のジュジャローが怒ったという伝説があります。
 しかしながら、欧州と日本では道路事情が違うのですから、ジュジャローの抗議は、車を道具として見た場合、いささか的外れだったと今でも言わざるを得ません(まあ、いすゞが最初に日本の法律を説明したうえで、フェンダーミラー込みでのデザインを依頼すれば良かっただけのことだと思いますけどね)。
 今でこそ、輸入車にもあるドアミラーの電動格納ですが、あれを海外の自動車メーカーに依頼するのは大変だったと聞きます。「なぜ、そんな機能が必要なのか、まったく理解できない」という反応ばかりで、相手にしてもらえなかったそうで。
 けっきょく、メーカーの人たちを日本に招待して、実際に日本の狭い道路を走らせ、ゴミゴミした駐車場に駐車させてみて、ようやく納得してもらえたという。
 日本には「郷に入りては郷に従え」という格言がありますが、諸外国には、そういう考えかたはないのでしょうかね?(キリスト教の世界への布教活動ぶりからすると、欧米にはなさそうですな〜)

 余談でした。