八せん終わり、松迎え、煤払い (旧暦 霜月三日)

『プロフェッショナル 仕事の流儀』「一徹に直す、兄弟の工場」

 自分も、そこそこ古い車に乗っているので、たいへん興味深く視聴しました。
 名人級の腕前を持ちながらの、あの慎重で謙虚な姿勢には頭が下がります。
 ああいうお店が近所にあればと思う反面、あったらお金が続かないなとも思うです。(;^_^A

 でも……とりあえず、ビートのステアリング、革を巻き直したほーが、ええと思うで(笑)。



 気になったことが一点。
 大勢の同業者が見学に訪れるというけど。
 あのご兄弟は、どこに見学に行くでもなく、経営の苦しい時期からずっと自力で努力し模索し精進し、あそこまで成長なさったわけですよね。しかも有名になった今でも日々、欠かさず新しい情報を求めて勉強し続けておられる。ラテン車とアメ車は違うからと診断用PCが複数台あるとかの、こだわり。あるいは、一見すると車に無関係としか思えない聴診器やスモーク発生装置を故障箇所の特定に使うという、創意工夫。
 ところが一方、見学に来る人たちはと言えば、それを見て真似ようって心づもりなのですよね。
 仕事に対する意識が根本的に違うわけで。見学者勢が、あのご兄弟の域に到達することなど永遠にあり得ません。だって猿真似する気しかないのですから。
 そこに本人たちが気づいているのか、いないのか。
 本気で取り組むつもりなら、自分の頭であれこれ考えろっての。実際問題、プロの数だけ、やりかたってのがあるもんです。
 連中、きっと「すごく参考になった♪」とか思ってるでしょうが、ずえっったいに身についてないし、仕事に生かせるはずもないと、あえて断言します。
 弟子入りして十年修行するならまだしも、たった一日の見学で物になると思う時点で大藁。付け焼き刃で、どうなるものでもない。
 そもそも、あのご兄弟から学ぶべきは方法や器具ではない。姿勢ですよ。ああそれなのにそれなのに……。
 まさに「プロフェッショナル」とトーシローの違いでしたね、あの対比こそが。