雛祭、天しゃ、小つち (旧暦 睦月十三日)

 五作目の相棒は今までになく仲良しですね。
 捜査ばかりか、筋トレもジョギングも何をするにも一緒だ(笑)。
 負傷しながらも生き残るのは一作目以来。

 一作目が 1971年。
 で、五作目が 1988年。
 十七年も経ちゃ、そりゃハリーも老けるわ。
 サンフランシスコの夜景も、メッチャ変わってるし。

 惰性だけで作られた三作目。
 様変わりが激しすぎて、まったくの別物になった四作目。
 この二つに比べると、ずっとまともな作品だと思います。テンポもバランスも良く、ちゃんと普通に娯楽作品してますから(正味九十分というのは一本の映画として最適な長さだと実感しました)。獄中から暗殺指令を出していたギャング団のボスを逆に脅迫したハリーの悪知恵など、往年のダーティさが出ていて楽しかったです♪
 ただ、もはや「マグナム44」の意味はなかったですね。時代から仕方のないこと(1988年と言うと、M83 、ウィルディ、グリズリー、デザート・イーグルといった、M29 やオートマグを越えるマグナム拳銃が出そろってた)でもあるのですが。それでも、海に捨てられた四作目に対し、今回は犯人に奪われたうえに撃たれる始末。いや悲しすぎる(苦笑)。これが .44Magnum弾がポピュラーでなかった 70年代なら、犯人が撃っても慣れない反動でまともに当たらない、という演出もアリだったかもしれませんが……。

 自爆ラジコン・カーでの追撃は、演出が悪い意味でマンガ的ですね。
 こっそり標的に忍び寄って爆発のほうは、いいのですが。
 必死で逃げるハリーたちの車を追いかけられるほど速いんでしょうか? 電気モーターは効率良いとは言うものの玩具ですぜ? しかも、専用サーキットではなくデコボコな公道。さすがに、あそこまでとは……ねぇ?

 あれこれが、いちおうは一作目を意識した作りになってはいるものの、残念ながら及びませんでしたね。特に犯人の狂気。
「犯人は誰か?」というミステリー要素は余計だったんじゃないかな。これのせいで狂気の印象が弱くなっちまってる。もしくは、犯人捜しのミステリーに徹して、狂気を排除したらよかったのかも。
 つくづく、スコルピオは偉大な悪役でしたね。

 シリーズ中の一つとしては、充分に成功作と思える反面。
 これがシリーズ最終作というのは、尻すぼみな感じがして淋しいものです。

 そう言えば、今回は、あの役者さんが出てなかったなぁ。
 スケジュールが合わなかったのか、別の理由があったのか……。


 五週連続でシリーズ全五作品をノーカット放送。
 とてもありがたい企画でした。
 一気に観ると、それぞれの違いも見えて面白いですし(買うかレンタルすりゃすむことですが、まあそれは言わないで)。
 また、何かのシリーズでやってくれると嬉しいです。