(旧暦 神無月五日)

 貴重な美人キャラ・青柳さんの最期はともかく(あの残酷な結末と、執行したのが直接の部下という非情さは、不条理な物語として充分にアリ)。
 本来なら被害者として保護すべき人々を淡々と執行し、それを怒る常守に涼しい顔で「命令に従っただけ」と言ってしまう公安三係のクソ面々が、その後に兵器試験場で無惨な死にかたしても、すでに反感を抱いている視聴者は同情しないと思われ。登場時から一貫、一係を見下す態度だったし。だから、むしろ「ザマァ」と、カムイ側の視点になってしまうかも。
 この場合、全滅すべきは、そして同情されるべきは青柳さんの指揮していた、そして一係とは良好な関係にあった二係だと思う(まあ二係も実質、壊滅状態だが……)。
 常守(&視聴者)を怒らせた三係の役割は別に設けるべきだった。例えば、カイト一派が手に入れたドミネーターに睨まれて命乞いしながら無様に退場、つまりは因果応報な末路。とかね(その役目を二係から一係に転属してきた気の良さそうな男が、やってるんだよなぁ……。まあ、あの場面では隻眼女の立ち位置確認という意味があることはあるのだが)。

 被害者すべてが執行されるという大量虐殺の場面で己の無力さを自覚させられたはずの後輩くんが、それでも常守を無能者呼ばわりする根拠が不明。嘔吐するしかできない自分に対し、常守は前に進んでいる。第一、今まで常守の読みは、すべて的中。それに対する後輩くんの反対意見は、ことごとく外れたワケで。その事実を無視したまま婆さんへの進言(=告げ口)とか、言動が壊れすぎてる。
 て言うか、ここに来て「責任は取りたくない」「面倒な仕事や責任は部下に押しつけ」「手柄は部下から取り上げ独り占め」という悪い意味での典型的な“上司”になっているのだが、少なくとも第一話からの初期段階では無能ぶりこそ同じだが、「血気盛んで自分の実力を信じて疑わないエリート新人」というキャラだったんだよね。仕事を面倒がるそぶりもなく、むしろ前に出たがってたほど。それが、ほとんど唐突と言っていいほどの転換。あれだと正義感とか治安とかどうでもよく、ただただ出世のみが目的って感じがする。
 ブレってレベルじゃないし。後輩くん、頭でもぶつけたか? どこに向かってるんだ?

 ギノさんを担当してた精神医なのかカウンセラーなのかはクロだった。
 奴が面会したとたん容疑者の色相がクリアになったって時点で怪しかったけど、ストレートな真相だったな。
 一期の段階で、この医師がクロという設定があったとは、さすがに思えんが(あったのなら、ギノさんの執行官墜ちすら、カムイの計画ってことになりえてしまう)。もしもそうだとすると一期を無視しての黒幕転向になるね。

 一方。
 常守の色相を濁らせたいなどと言うストーカー野原ひろしの正体は、何なんだろう?
 順当に考えればシンプルに変態か、あるいは常守の監視役として遣わされたシビュラの走狗なのだが、どちらもさすがに安直すぎるか……はてさて。

 ところで。
 常守のお婆ちゃん(似すぎ! っつーか、あれはヲタクが仮想経年させた常守のホロ級だろ)が出てきたってことは。
 今後、ひろしかカムイのどちらか、あるいはシビュラも含めた三者が三様に、お婆ちゃんを標的にするフラグなんだろうか。常守の色相変化を見る目的で。
 と、かなり不安。
(「あかね」の婆ちゃんが「あおい」か。母親の名前も知りたいぞ♪)