「十年無事に勤め上げて、その後は安泰」
とかいう台詞があったが。
そも。
監視官として十年を勤め上げた者が実在するのかどうか。
公安のトップ、あの婆さんのポジションなどが皆の目標ではあろうが。
けど、あれってロボットだからねぇ。
現場からの叩き上げで上級管理職に進んだ者って、本当にいるのかすら怪しい。
ひょっとして、監視官に約束された道は、ただ一つなのではないか?
つまり。ギノさんや、その父親・征陸さんの通った道ね。
いやだから、色相濁らせて執行官になる道(ただし、ベテラン刑事だった征陸さんはシビュラ導入と同時に潜在犯とされたはずですが)。
つまりサー。
上層部の人員追加なんてものを、そもそも公安は必要としてないんだよね。シビュラを動かしているのは、あの脳味噌の群れなのだから。
必要なのは「慢性的人手不足」を補うための現場要員、最前線で汚れる役割だけ。
と考えて、思い至ったのが、例のQBシステム。
あれの「魔法少女」とは魔女退治の戦士などでは決してなく、実は闘いで穢れを溜め込み、いずれ魔女になるための要員。つまりは魔女の卵。QBとしては魔女がたくさん産まれることこそがノルマ達成に至る近道だからね。どんどん魔法少女を使い捨てる必要がある。
これに似ている気がするワケ。
要するに監視官は執行官の“卵”であり、執行官は最前線ゆえ、いずれ色相の濁りが限界に達することは、ほぼ確実。ためにハナッから使い捨て前提である。だからこそ、公安と言うかシビュラは新たな執行官候補としての監視官を次々と必要としている、ということなのではないかと。なにせ消耗品だからね。
十年勤め上げたらキャリア昇進で悠々自適、なんてのは幻想でしかない。片やQBは、きちんと願いを叶えてくれる分、桁違いに良心的と言える。
とんだ詐欺師も、いたもんだ。
さすが犯罪者脳味噌の群れ。