(旧暦 葉月廿八日)

 そもそも、あの国のことを「イギリス」と呼ぶのが大きなまちがいで。

 とあるさくらいろなおかたが常用されているとおり「U.K.」が正しい。「United Kingdom」すなわち「連合王国」。
 もっと正式には「The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」(大ブリテンおよび北アイルランド連合王国)、つまりブリテン島全体とアイルランド島北部との連合なのですね。
 さらに細かく言うと、ブリテン島イングランドスコットランドウェールズの三つに分かれており、北アイルランドを含めた四つで構成される連合国家が、我々無知なる日本人が大雑把に呼ぶところの「イギリス」の本当の姿というわけ。

 高校のとき、地理の先生がうるさくてねー。
 イギリスもですが。
アメリカ」と言うと叱られるんですよ。「テストで『アメリカ』と書いたら点はやらん」とまで言ってました。あの国は「U.S.A.」もしくは「U.S.」と呼ぶのが正しいそうで。「United States」ですから「連邦」もしくは「合衆国」ですね。「America」のフレーズは、どーでもいいんだそうで(笑)。
 そー言や「FBI」はアメリカ警察じゃなくて連邦警察だもんなー。

 案外と、複数の国が一つにまとまってる、いわば連立政権のような構図の国家ってのは、実は多いようですね。先日、ロシアに引っ越ししたクリミアもウクライナを構成する一つの国だったわけですし。
 考えたら日本だって戦国時代は各領主それぞれがバラバラに統治していたわけですし。泰平の世になってからも各藩は徳川に頭が上がらないまでも、弱いなりに自治は維持していた(「御上意」で、あっさりお取り潰しになる脆い自治権ですが……)。薩摩なんて幕府そっちのけで大英帝國と戦争したほど。また、蝦夷琉球という他国を吸収した経緯もある。

 スコットランドのことは、日本で言うなら蝦夷琉球が独立する、という感じのものなのでしょう。
 ただ、日本には、どこぞの地域が日本から独立するための法的根拠がないので、少なくとも合法的・平和的手段での独立は起こりえないわけで(もっとも、今の状況下で、そんな法的根拠があったりしたら、それこそ中共あたりが沖縄を露骨に扇動しかねん)。
 そのあたり、やはり「U.K.」を名乗るだけあって、各地域に選択肢がちゃんとある点、日本なんかよりはるかに大人だと思います。その分、お役人と政治家はたいへんですけどね、きっと。

 独立反対派の勝利で、ひとまず幕を下ろしたようですが(とは言え僅差なので、実際には意見が真っ二つに分かれていることになりますね)。
 ホームズ好きの端くれとしては、あの国の様相が変化するのは、なんか怖いですね。その意味では、無責任にホッとしてますよ。はひ。