(旧暦 卯月廿一日)

 昔の平成ライダーではTV本編と劇場版は、きっちり住み分けしてましたよね。
 CMやエンディング後の告知コーナーで映画の宣伝をやりはするものの、区分け・線引きが、ちゃんとできていた。

 たしか『電王』からだと思います。
 TV本編に劇場版キャラを(脈絡なく)出して宣伝させるようになったのは。
『電王』で言えば、唐突にガオウが登場、デンライナーが盗まれて取り残される良太郎とハナ。で、翌週は普通に自室で目覚める良太郎。デンライナー通常運行。一週観逃したかと焦ったですよ、当時。
 この頃から、OP映像を映画のものに差し替える手法も出てきましたっけ。
『ディケイド』では、あの大顰蹙を買った「尻切れトンボ→結末は劇場版を観てね♪」の凶悪コンボでしたっけ(なお、東映の公式見解では、あのふざけた最終回でストーリは完結しているそうな……「完結」って言葉、勉強しなおしてはどうかと今でも思うよホント)。
『W』以降では劇場版のストーリがTV本編にもからむため、TV版のストーリが飛び石になる印象が出てきましたね。『W』で言えば、それまで正常だった風都タワーが、ある回から説明もなく破損状態になってたり。『フォーゼ』では、説明もなく、いきなり使われたロケットステイツ。
『ウィザード』最終エピに鎧武が登場したのも、脈絡無視の宣伝でしたし(映画ではなく新番組の、ですがね)。

 比べると、パラレルとしての別の結末を描いた『龍騎』や『剣』、未来の物語とした『555』や『カブト』、戦国時代の過去話にした『響鬼』などなどは(出来の是非はともかくとして)健全だったと思います。本編のストーリ展開に影響を及ぼすことがありませんでしたからね。

 それにしても『鎧武』はひどい。
 ついこの間、トッキュウジャーとの一時間SPコラボで映画の宣伝したばかりでしょ?
 なのに、またコラボ宣伝ですか。
 作っているのは、いい大人のはずで。なのに、この節操のなさには呆れます。

『鎧武』のストーリが、いよいよ佳境に入ろうかというこのタイミングで、「二週間前にさかのぼる」だけで無関係な話を割り込まされちゃかないませんや。
 ストーリ的にも特に内容のあるものではなく、本当に『キカイダー』の宣伝だけ。30秒ならぬ“30分CM”を放送したようなものです。
 て言うか。百歩譲って『鎧武』本編で『鎧武』の映画を宣伝するならまだしも、ライダーですらない『キカイダー』の宣伝を『鎧武』本編でやってしまう、その姿勢には制作側の身勝手さしか感じられません(そう言や、何年か前の戦隊にギャバンが客演したこともあったっけか)。

 自ら、きちんとしたけじめが付けられないのは、とても恥ずかしいことだと思うのですがね。

 もう一つ言うと。
 大きなお友達は、まあ置いといて(笑)。
 子供たちみんながみんな映画を観に行ける、観に連れて行ってもらえるとは、BDやDVDを買ってもらえるとは限らないのですよ。
 だからこそ、映画の存在に左右されることなく、TV本編はTV本編だけで成立しなくてはならないと思います。
 ガチャやカードでもそうですが。子供相手の商売でコンプ欲をそそる、というか意図的に欠損欠落状態を作って、その不安定な状況に突き落として購買意欲を煽り立てる商売は、やめるべきです。
 いい歳した大人相手なら、そーゆータチのよろしくない商売でも別にかまわんと思いますけどね。ガチャで散財してゴミばかり手に入って大泣きしても自己責任ですから。