二院そろって強行採決は異常事態でしょう。
そこまで横車を押す意図は……要するに政権にとりたいへんに美味しい法律だということでしょう、秘密保護法案は。
なにせ法律の拡大解釈は世の理ですからね。それが曖昧な記述に終始しているなら、なおのこと。政府の都合で、どうにでもできる。そりゃ美味しかろ。
あの PSE騒動だって、PSE法の曖昧な記述を経産省が勝手に拡大解釈した結果です。そのせいで、少なくない中古業者が廃業に追い込まれた。しかも経産省は誰一人責任を取らなかった。
同じことが、いえ、もっと悲惨なことが秘密保護法案の成立で起こらないなどと誰が言えるんでしょう?
しかも政府が秘密保護法を私的運用しないよう監視する第三者機関の責任者が首相? 首相が政府から見て「第三者」? いったい何のジョークですか?
これを、しれっと言ってしまう安倍には、良心とか善意とかのカケラも見えませんね。
先の選挙で、まったく論点になかったあたりでも安倍の汚さが嫌でも判ります。腹の内には当然あったでしょうからね。
ただ、安倍の日頃からの言動を見れば、今の戦前回帰を目指している状況は容易に予想できた。
それを予想できず、あるいは考えもせずに自民に投票した有権者の皆さんは、のちのち何気ない会話を理由に憲兵にしょっ引かれても文句言わずに素直に投獄・処刑されてください。
私は、ごめんですけどね。
『サザエさん』の作者、長谷川町子さんは港の光景をスケッチしていて憲兵に逮捕されたご経験があります。憲兵の言うに、長谷川さんの見ていた方向、海上の遙か彼方に軍の施設があったそうで。
つまりスパイ容疑です。
すでに『サザエさん』の連載をしていた長谷川さんは新聞社のほうから手を回してもらい無事に釈放されたそうですが。
ごく普通の行動を咎められ逮捕される。恐ろしい社会だったのですよ、かつての日本は。
(長谷川町子著『サザエさん うちあけ話』より)
賛成派は U.S.A. などを実例に挙げますが。
あちらでは、まず「政府の持つ情報は原則公開」というルールが大前提としてあります。そのうえで秘密が必要なものについて、その都度、隠すための手続きを要する(裁判所命令で渋々公開した書類が黒塗りのアレですね)。
さらに、そのうえで、表に出さず存在そのものを極秘裏に隠し続ける情報も、もちろんあるはず。しかし、これについてはホワイトハウスが情報公開法を逃れて隠すための日々の努力を惜しまない。なにせ違法行為ですから(苦笑)。
日本はどうです?
隠すための陰ひなたの努力が面倒で、法律で十把一絡げにしようと、楽をしようと、問題だらけの法案を無理矢理に成立させようとする。
あまりに政治が幼稚です。
そして、こんな連中を政権復帰させ、しかも過半数与えた有権者が幼稚すぎるのです。
残された道は、ふたたびの政権交代を起こし、秘密保護法を廃止、あるいは改正させるしかないでしょうね。今国会で成立するのは数のうえで確定してますから。
問題は政権交代を委ねるに値する野党があるかないか、ですが……はてさて。
ただ。
ウカウカしてると秘密保護法を利用して選挙で自公しか勝てない状況にしてくると思いますよ。
公明が今回、ブレーキ役を放棄したのは、おそらく、そういうナシが自民との間でついているからでしょうね。そうでなければ、本来が公明の支持母体だって秘密保護法なんて嫌なはずですから。
みんなや維新が擦り寄っているのも、そういう流れを予想してのことかもしれませんね。今のうちに自民に媚びを売っておこうというのでしょう。どこが野党なんだか。
暗黒の時代は、もう目の前なのかもしれません…………。
今は本気で U.S.A. に移住したい気分ですよ。つか、できるなら、とっくにやってます。