(旧暦 長月廿二日)

 恭介と姉御だけは何かを知っている。
 そう思っていました。

 が。

 あの様子からすると、理樹と鈴以外のみんなが何かを、いや、真相を知っている?
 そんな感じですよねぇ、あのシーンは。

 この作品とは関係ない人物ではありますが。
 押井守監督が、よく使う手法なのかな、と思えてきています。

 つまり。

 主人公(主人公の仲間を含む場合もあり)以外の、すべての登場人物が口裏を合わせて主人公を騙す、と言うと聞こえが悪いですね、言い換えるなら主人公の見たい夢を見せてやっている。
 それが物語の軸という手法。

 押井監督の代表作『ビューティフル・ドリーマー』では、あたる&ラムと、その仲間たち以外の、友引高校関係者、友引町住人のすべてが夢邪鬼の操るマネキン人形だった。
パトレイバー』OVA版第4話『Lの悲劇』では、野明や遊馬たち第二小隊を取り巻く全員が、まさに口裏合わせて一杯かついでた。
 実写映画『紅い眼鏡』も、夢落ちでしたし。
 押井監督が原作担当のコミック『とどのつまり…』も、また同様。主人公以外の全員、それも超大人数が一丸となって主人公に“つくりもの”の世界を見せていた。

 ……などなどなどなど。
 要するに押井流「胡蝶の夢」ということ。

 どうも『リトバス』は、この手法を使っている気がしてきました。
 理樹と鈴だけが知らずにいて、他のメンバーはすべてを知っている。
 つまり、毎度毎度ネコが運んでくる、あのミッションに書かれた「世界の秘密」とやらを、実は恭介だけでなく皆が知っている? 知っていて、そのうえで理樹と鈴の二人に世界を見せている?
 となると、そもそもミッションを提供したのも恭介たち?


 な ん の た め に ?


 前回、来ヶ谷さんが理樹への恋心を見せ、それはダメだとばかりに自ら身を引いた形で6月20日のループを終えた。そのときの、まるで別れを告げるかのような台詞のとおり、今回は登場しない。
 そして、理樹と鈴のカップリング成立を祝福したのち、クド、三枝さん、西園さんは、あたかも自分の役目が終わったと言わんばかりのスッキリした表情で部室を出て行った。たぶん彼女らは次回、登場しませんね、来ヶ谷さんと同じく。
 それと、来ヶ谷さんの最後の台詞「鈴はキミが守れ」から考えても、来ヶ谷さんの目的も二人のカップリングにあると思われ。だからこそ自らは身を引いた。

 いや。無茶だろ。
 たかが高校生カップルを一組こしらえるためだけに、あんな“大芝居”を、こちらも同じく高校生にすぎない恭介たちがした?
 ありえねー。つか、そんな北高の変人女みたいな神懸かった力、どこから持ってきた?(この「芝居」に何かしらの超常的現象が伴っているのは姉御の6月20日ループで明白……だよね?)

 仮にそうだとしても、判らんことがある。
 前期、メンバーそれぞれは、たしかに深刻な悩みを抱えていて、それを解決してリトバスのメンバーになれた(西園さんなんて、自分の分身に居場所を明け渡して消えようとまで、してたよね)。
 仮に理樹の見ている世界が、恭介たちの“芝居”によるものだとすると、このあたりが理解できなくなるんですよねぇ……うーむ。
 ひょとして悩んでたことも芝居? いやー、さすがに、それはちょっと承伏できかねるな。



 要するに。
 むわったく読めん。orz



(※ まちがいをこっそり修正しました。わっはっはっ)