衣替え (旧暦 葉月廿七日)

 けっきょく女形巨人の生け捕りは成功したと言えるのか。
 団長は、何とか上を丸め込んだようですけどね。
 2クールで何も謎は明かされず、むしろ深まるばかり。
 これで二期なかったら暴動が起こるぞ(爆)。



 ちょっと巨人について考察ごっことかしてみる(笑)。
 まあ、この作品を観た者に共通の権利ということで、お許しあれ♪
 本当に駄文なので、たたんでおきます。あえて開いて見た人は、どうか怒らないでいただきたい。


 巨人には人を喰う一般的なもの(含・奇行種)、喰わない特殊なものがある。
 人を喰わない巨人は四体が登場。エレン、女形(アニ)、超大形、鎧形。うち二体(エレンとアニ)には知性がある。超大形はエレンが立体機動で闘った際に、その動きに知性を感じた。鎧形は脇目もふらず扉の破壊に専念していたが、あれは知性なのかシンプルな行動なのか?
 人喰い巨人や奇行種の急所は、うなじ。
 エレンやアニの変身した巨人も、うなじ部分に本人が埋没しているので急所となる(アニは女形に変身しての戦闘中、自らの手を硬化して、うなじを庇った)。
 人喰い、奇行種、変身体ともに、活動できなくなると体が急速に腐敗して骨だけになる。
 エレンとアニの変身プロセスは、自己を傷つけるという同じもの。

 これらから導き出される確定率の高い仮説は。

 エレンとアニは同一種。おそらく超大形も同類(ウォール・マリアのときもウォール・ローゼのときも、こいつは、その巨大さに反して前触れもなく唐突に出現した。つまり人の変身体である可能性が高い)
 これらのことから鎧形も、おそらく同じで人の変身体。
 急所の位置や、すぐに腐敗する、生殖器を持たない、などの共通点からすると、変身体と一般的巨人は同じ原理から成り立っている。

 さらに進めて、少し大胆な仮説は。

 エレンやアニをパイロット搭乗のエントリープラグとするなら、一般的巨人はダミープラグが入っている状態か?
 一般的巨人を参考にして変身体を誰かが開発した?
 変身体が時間の経過で、いずれ一般的巨人になってしまう?(うなじの本人は体組織に吸収される?)
 一般的巨人と変身体は並行して生まれている? 相互の行き交いは、ない?

 疑問点・1
 そもそも、エレンとアニは人類なのか?
 人間を巨人に変身できる体に誰かが改造したのか?(この場合、エレンの父親は容疑者候補だな)
 最初から巨人になれる存在、見た目に人間と似た生物として生まれてきたのか?(アニの回想シーンにおける彼女の父親の様子が、そんな印象を与える)
 巨人として生まれた者が人間の姿になったのか?(巨人体の腐敗や生殖器を持たぬことなどからすると、この説はありえない)

 疑問点・2
 一般的巨人に女形がいないのは、なぜ?
 女形がいないにもかかわらず、一般的巨人の顔形がクソガキからジジィまでと十人十色なのは、なぜ?

 疑問点・1から導き出す大胆な仮説
 アニが訓練兵時代から常に沈着冷静な行動を取っていたことから、巨人側の動きは計画的なものと思われる。少なくとも、女形(アニ)、超大形、鎧形の三体は何らかの勢力に属した作戦行動を取っていた。ウォール・マリア攻略という作戦を。
 すなわち、ウォール・マリアの陥落は突発的なものではなく巨人側の作戦に基づき満を持して実行されたもの。超大形が最外周(エレンの住んでいた町の外壁ね)を破り、そこから巨人の群れを入れ駐屯兵団を混乱させ、その間に鎧形がウォール・マリアの扉を破壊というコンビネーション。超大形が壊したとは言え、すぐさま町が巨人で溢れかえったのは、あらかじめ超大形の周囲に巨人が集まっていたからと考えられる。つまり女形の、巨人どもを呼び寄せられる能力が生かされたということ(あのとき女形は画面には登場していないが、あそこにいたはず)。
 この三巨人のコンボ攻撃こそ、組織的計画的作戦と考える根拠。
 目的が単に町の破壊と殺戮でないのは、超大形と鎧形が壁の破壊以降、姿を消したことで判る。その目的とは、アニ(と、たぶん他二名)のウォール・ローゼ内への侵入。おそらく巨人の群れによる混乱に乗じて、変身を解いた三名は避難民としてウォール・ローゼを通ったと思われる。打ちのめされたエレンたちと一緒にね。
 そして、直後のウォール・マリア奪還作戦という名の口減らしに巻き込まれていないなら(て言うか五年後に超大形が再襲来したのだから巻き込まれていなかったんだろ)、アニ以外の二名もアニと同世代、つまり口減らしの対象にならない程度に子供だったということになる。
 そして、アニが軍に志願して憲兵団に進んだように、壁内の中枢に近づけるポジションを目指しているはず。アニ同様に軍か、あるいは政治家かウォール教あたりか(ウォール教はともかく、政治家コースは難民出身では難しいか)。もしくは発言力はなくとも影響力という面から商人もありえるか。あるいは、戦闘に欠かせない超硬質スチールを生産する工業都市や、食糧事情に深く関係する特殊な酵母に関わる業種なども、考えられる。
 と、ここまでの推測を前提とするなら、巨人は生物兵器であると考えられる。強引な例えをするなら、人の変身体を隊長役のモビルスーツとし、一般的巨人を自動操縦のモビルドールとね。もちろんモビルドールほど高度なAIではなく、RPGで襲いかかってくる雑魚モンスターのレベル。巨人のあの一定のパターンに沿った頭の悪そうな行動は、まさにゲーム上のNPCの動きと似通っていないだろうか?
 生物兵器であれば、それは何者かが開発したもの。となる。
 あるいは、どこからか沸いてきた巨人を参考に、それらを兵器転用するために統率すべき変身体を誰かが開発したか。
 だとして、その目的は?
 安直な推測だが、壁の外側が人以外の生き物たちにとって平和そのもの(巨人は鹿などの動物を決して襲わない)なことからすると、地球のゴミである人類の一掃かもしれんね。つまり地球環境の回復を目指している?(この推測だと巨人は『ナウシカ』世界の腐海と蟲だね)

 疑問点・2から導き出す大胆な仮説
 巨人が人為的に開発されたものとして。その目的が仮に人類殲滅だった場合、アニ(たち)のやりかたが回りくどい印象を与える。戦力的に巨人側が圧倒しているのだから、もっと力押しでもいけそうなもの。
 また、街で巨人エレンに追われた際の女形(アニ)の行動が、あきらかに無闇な犠牲を避けようと市民を気遣っていたのも、連中の目的が人類殲滅ではないと思える根拠(壁外調査時にアルミンを見逃したように、アニの優しさから出た、組織の意に反した行動という可能性もなくはないが……)。
 何より、壁の内側が百年間平和だったことの説明にならない。
 とすると、巨人側の目的は人類殲滅ではなく人類のコントロール? 壁内にこもって百年、そろそろ偉そうにしてきたので少し叩きに来た?
 と考えた理由の一つが、疑問点・2にある。つまり、どうして一般的巨人は顔や体型は様々なのに、一貫して男形だけなのか、ということ。
 もしも。エレンやアニを「可逆の巨人化能力を与えるべく人間を改造したカスタム型」とするなら。そして、変身しない多数の巨人どもをいわゆる「廉価な量産型」と考えるなら。この量産型巨人は不可逆の改造人間ではないのか、ということ。顔の造形や見た目の年齢層が多岐に渡るのはベースとなった人の外見が、そのまま大きくなったから?
 そして。ここからが肝要。人類を決して絶滅させずに勢力図のみをコントロールするならば、間引き対象は何?
 野生動物で考えよう。
 そう、対象はオスのみなのだよ。子を産むメスは決して殺さずに生かす。産まれてくる子の上限は子宮や卵巣の数に完全依存するからね。ぶっちゃけオスなんてのは、少しいれば種としての個体数のコントロールは充分に可能。
 とすると、人類絶滅を望まぬ勢力が人間から不可逆の巨人を作るなら、ベースに女性を使うことは考えにくい。総人口の激減した状況であれば、なおのこと(ただ、こう考えた場合、巨人が女子供の区別なく人を襲って喰らうことが解せなくなる。量産型はバカだから、で片付けられなくもないが……)。
 もう一つ考えられるのは、生物兵器とした場合、基本的体格で男は女性に勝るからね(とは言え、子供タイプの巨人もいるので、あまり説得力はないな)。

 さて。
 巨人が黒幕の意図のもと生み出された存在とした場合。
 その黒幕と深く関わっとりゃせんか? となるのが、あのウォール教ではなかろうか。
 なにせ最終回のラストで明かされた驚愕の事実があるからね。

 壁の中に巨人が!

 巨人を封印しているのか、壁を作るときに素材として使ったのか(ほら、城の石垣を積むとき、石材が足りなくて古い石棺などをそのまま重ねてたりするじゃない)。
 は、ともかくとして。
 女形が壁を登って逃走しようと穿った穴の所に、たまたま巨人が埋まっていた……というのはご都合主義が過ぎる。『進撃』という作品は、そんないい加減な演出をしないはず。ここは壁のあちこちに巨人が、わんさか埋まっているとするほうが自然。

 遡ってみよう。
 アイキャッチの「現在公開可能な情報」によると、「107年前に巨人が出現し、ほとんどの人類が喰いつくされた」とか「人類は大砲で対抗したが、なす術もなかった」とかなっている。
 こんな状況で、あんな大規模で強固な壁を作ってる暇、あったのか? まして中に巨人を埋める余裕なんてあったのか?
 これも「現在公開可能な情報」によると「人類領域は中心ほど標高が高くなっており、水と資源に恵まれている」とある。
 都合が良すぎる。急遽作った壁内地域だとしたら、あまりに幸運が重なりすぎている。「ほとんどの人類が喰いつくされ」るほどの巨人の群れが出現した世界で、突貫工事したって無理すぎるだろ。

 だからさ。
 壁って、ひょっとして巨人が暴れだす前からあったんでねーの?
 という疑問がわくわけよ。つか、それが無理のない結論。
 当時の権力者が万里の長城みたいなのを欲したとかなら、充分ありえるよね。

 ただね。
 もしも、そうだとして。
 そんな壁の中に巨人が埋まってるって……。
 順序が崩壊してるのよ。

 整理してみよう。
 巨人が出現し人を襲う前に壁は存在した。
 そして、その中に巨人が埋め込まれてあった。
 つまり、少なくとも壁を作った勢力は巨人の存在をとうに把握していた。

 推理してみよう。
 巨人は内側に顔を向けて立った状態で埋め込まれているっぽい。
 で、ウォール教の祈りの儀式(巨人エレンに追われた女形が踏みつぶしたアレね)で信者たちが作っていた輪、三つの壁を表した輪。あれが実は中に入っている巨人たちの体勢そのままなんじゃないのか?
「現在公開可能な情報」によるとウォール教は、たとえ補強目的でも壁の工事を許さないという。これは神聖視もさることながら、内部の巨人が発覚することを恐れての態度なのではないのか?
 つまり、ウォール教の少なくとも中枢部は、壁と巨人について核心的な情報を持っており、それを隠し続けているのではないのか。
 最終回の「現在公開可能な情報」、あの長い文章からすると、壁については目撃者が消え、彼の話を聞いた友人も消えるという、まるでUFO文書のような怪しい事件が裏で起こっている様子。それについて軍が重要視している様子。目撃者の談を信ずるなら壁は地上だけでなく地下にまで張り巡らされていることに……って、どんだけの数の巨人が埋まっているというのか…………ウォール教の儀式が暗示するとおり、壁すべてが巨人?
 もう、こうなるとね。壁を作った勢力の末裔がウォール教である、としか思えないよ。

 考えると、巨大樹の森も怪しい。
 樹木が巨大化した理屈が巨人と同じということは、可能性としてありえないか?
 ひょっとして、かつて黒幕が巨人を作る際に、その余波で木々が巨大化してしまった、とか。

 謎が謎を呼んで、さっぱり判らん。



 以上、アニメ版のみからの手前勝手な想像であります。