いよいよ佳境か。

 ヒス副総統が凄く良い人で感動した!

 旧作にて、総統のイエスマンでありながら、実は名誉より実利を選ぶ現実主義者だったヒス副総統ですが(そのため総統に射殺されましたけどねー)。
 今作でも普段の腰巾着ぶり&部下に対する超上から視線と、いい感じに嫌な奴で。
 それが、ここに来て本当のご自分をさらけ出してくれました。
 総統府を焼土にせんとするデスラーの行動を「愚か」と言い、即座に全市民に避難命令(あれ? バラン星でも誰か、やってましたね♪)、逃げる途中で見かけた少女を自らだっこして救出(あのお歳では腰にきつかろうに)……良い人すぎて涙が出ます。ガミラスは、あんたがトップやってればよかったのに。

 旧作第一期でのデスラー総統は悪役そのものでした。ナルシストで、見た目にこだわり、底意地が悪く、大風呂敷ばかり広げて、そのクセ心根が小さく、卑怯で執念深い。
 それが劇場版二作目以降のデスラーは、ドメル将軍を彷彿とさせる気高き漢になってしまった。つまりは別人です。きっと、どこぞのモビルスーツ技師みたく酸素欠乏症で脳が壊れたのでしょう(笑)。

 今回の経緯からすれば、デスラーに戻る場所は、もうありませんね(たぶん、旧作同様にヤマトをつけ狙って奇襲かけてくるのでしょう)。
 ガミラス本星の市民は、総統に殺されかけた事実を忘れません。
 ヒス副総統以下の重鎮たちも同様。
 そしてディッツ提督の一派は、とうに現政権に反旗を翻している。連絡係として乗艦したメルダが、ヤマトのガミラス本星への侵攻・攻撃を認めないにもかかわらず、それでもヤマトを総統府に案内したのも、それが理由でしょう。
 ガミラス腐敗の象徴こそ、デスラーということでしょうか。その意味では総統暗殺およびクーデターを目論んだゼーリック元帥の考えにも理と愛国心があった。
 これでヒス副総統以下のガミラス政府となら、あるいは和睦が結べるかもしれません。

 ガミラス市民を一切描かなかった旧作に対し、今作は市民の存在のおかげで、いろいろと見えてきて面白いですね。
 旧作の欠点を一つひとつ丁寧に修正したという感じで、良いリメイクになっていると思います。