大雪、下弦、三隣亡、大報恩寺大根炊き (旧暦 神無月廿四日)

 かの名番組『料理の鉄人』が、この秋からタイトルを『アイアンシェフ』にリニューアル……と言うか逆輸入して復活しているわけですが(もっとも、鹿賀主宰の台詞には「甦るがいい、アイアンシェフ!」という名文句がありましたけどね)。

 同じフジTVが得意とするF1レースの中継を参考にしたという演出方法も受けての長寿番組であり、料理人同士が一時間という時間制限の中でコース料理を作ってしまうという闘いに惹かれたかたは多かったと思います。
「キッチン・スタジアム」とは、よく名付けたものです。

 かく申す妖之佑も、この番組のファンでした。
 型にはまらない料理手順とか、素人にとっても観ていて参考になるんですよね。
 実況席からの服部さんの解説や予想も面白く(氏の予想と、TVを観ている私の予想と、どっちが当たるか? などと楽しんでましたよ♪)。

 長寿番組にとり宿命であるマンネリ化に、イタリアンの鉄人追加、鉄人同士の闘い、あるいは鉄人の入れ替え、などなど、あれこれと抗うものの、レギュラー番組から特番のみに格下げ、最後は虚しくフェード・アウトしましたが。
(つか、あの最後はフジ自ら葬り去ったと言っていいほどの暴挙でした。単発で終わった本木主宰には、お気の毒ですが……)

アイアンシェフ』も、そのバトルの様相は相変わらず面白いですね。
 かつての鉄人たちに敬意を表する意味でか、道場さんや陳さんを「鉄人」と呼び、現役者を「アイアンシェフ」と呼称するのも、時代の経緯が感じられます。

 第一回の二時間SPにて、なぜに宮川大輔氏がキッチン・リポーターなのかは理解に苦しみました。とくに滑舌が良いわけでもなく、視点が鋭いわけでもなく。
 まあ、二回目以降、出てきませんから由としますが。

 当初、無理矢理に威厳を出そうとする女性ナレーションは聴いていて不自然・不愉快でした。
 つか、なぜ主宰がナレーションをしないのかな? 鹿賀主宰の、料理人や食材を紹介するナレーションも、楽しみの一つだったのに。玉木さんにできないはずも、ないと思うんですけどね。
 これは、最近になり威厳を出そうとする演出が廃止されたのか、普通にナレーションしていたので解決と判断します。

 冒頭、玉木新主宰が群衆に向かって演説するシーンも正直、良くないですね。あれ、安物のCGで、しかも意図的にボケさせてるので、かえってダメダメ感が増してますよ。
『鉄人』では、パプリカを囓った鹿賀主宰から一気にカメラが引くと、無数の料理人たち(エキストラの群れを光学合成でしょうが)がズラリと居並ぶあのシーンは、美食アカデミーの規模を思い知らせるハッタリとしては秀逸でした。要は技術ではなく工夫なんですよ。
アイアンシェフ』に限らず、CGがお手軽になった分、かえって映像がグタグタになる例は枚挙にいとまがありません。
 これも、最近では廃止されたようなので、ほっとしてますよ。

 そんなこんなな玉木新主宰のいでたちも最初こそ違和感ありましたが回を追うごとに見慣れてきました(笑)。
 さすが役者さんですね。



 ただ。
 これは『料理の鉄人』でも感じていたことですが。
 試食シーンは実に、つまらんです。

 はっきり言いますとね。(否定的意味での)文化人どもによる「グルメごっこ」にしか見えないのですよ。
『鉄人』時代で言いますと、細K、AK元、K納、景Y、T田あたりが特に胡散臭かった。
 まあ、平野さん、岸さんには一目置かせていただきますが。とにかく「審査員」という存在が水を差してましたよ。だって、料理がちっとも旨そうに見えないんだもん……。
 そもそも料理を採点、つまり数値化するというのが無理なのです。それを訳知り顔でやるから審査員が胡散臭いものにしか見えない。とりわけK納やAK元が偉そうに発言するたびに嫌悪感すら出てきたものです。
『鉄人』衰退の原因は審査員にあると今でも思っています。
アイアンシェフ』にもいますね、AK元……。それと、偉そうな、あのオバハンあたりがネックにならないか心配ですよ。

 ただ、「キッチン・スタジアム」でありバトルであるのですから勝敗は必要です。
 では、どうすべきなのか?
 実は簡単なことです。
 料理人の料理は普通のお客が判定すればいいだけなのですよ。採点などせず、単純に「どっちが美味しかったか」「どっちが好みか」だけでいい。
 それを実際にやってきたのがTV東京の『TVチャンピオン』です(料理だけに限りませんけどね)。だからこそ、TVチャンピオン出身者はレベルが高いと言われるのです。

アイアンシェフ』に登場する料理人たちが「そんな素人客どもは相手にしない」と言うなら、それでもいい。
 けど、それはしょせんブランド信奉の料理人とグルメ気取りの客とで繰り広げられる「グルメごっこ」に過ぎないと思います。重ねて言いますが、その店が旨いか不味いかを決めるのは普通のお客ですからね。

味いちもんめ』だったかな。劇中で、グルメ気取りのお客に板長が苦言を呈していたのって。
 初期の『美味しんぼ』でも、いわゆる文化人グルメには、かなり批判的でしたよね。アンキモの回とか♪
 細KやAK元やK納は『芸能人格付けチェック』で、その実力のほどを晒すといいのに。と、よく思ったものですよ(その意味で、『格付け』にてワインで大恥かいた江川卓さんは潔いと思いましたね♪)。



 大胆に予想します。
アイアンシェフ』は長続きしないと思います。
 半年か、もって一年じゃないかな?
(だって、いきなりAK元とか出してくるんだからなー……ごにょごにょ)