(旧暦 長月十四日)

 よく判る文章ですね。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20121027/frn1210271438001-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121027/dms1210271435002-n1.htm

 乱暴に言ってしまえば文化の落差ですよ。
 日本人の常識は大陸には通用しない。
 大陸の常識は日本で通用しない。
 そして、日本のと比較して、大陸の常識は段違いに狡猾で強か。
 ゆえに、お人好しな日本人は、大陸にとっては、いつもいつも美味しいカモでしかない。

 そもそも。
 日本人の道徳観、倫理観、誠実さ、正直さ……等々。これらは国際社会では希少種だと思います。

 日本と良好な関係にあると思える欧米諸国を考えても、契約社会であるあちらには、日本的な腹芸や阿吽の呼吸、ツーと言えばカーは通用しません。なにせ魔物とすら明文化した契約書を取り交わす文化ですからね、先方は(笑)。
 かつて、ゴジラをハリウッド映画化する際(あの失敗作ね)、あちらさんは契約書の隅っこに「東宝ゴジラの権利すべてをハリウッドに譲渡する」という内容を潜ませていたそうです。つまり、映画化を口実に、あっちは日本の貴重な財産であるゴジラそのものを乗っ取る算段だったのです。これを契約成立ギリギリで東宝側の弁護士が発見、致命傷に至らずに済んだという伝説があるのですよ。
 日本人的には、この行為は「騙し討ち」と受け取れます。でもハリウッドは、これを卑怯とは思っていません。文章の形はどうあれ、契約書に明記しているわけですから。

 イスラム圏に至っては、何を約束するにも、あちらさんは「アラーの許す限り」という文言を忘れません。つまり約束を反故にしても、それは「アラーのご意志」なので、どうしようもない。取引先と時間の約束をすると日本人は遅れないよう早めに出ます。でもアラブの人たちは良くて想定の所要時間しか見ない。で、交通事情なり何なりで遅れても「自分は悪くない」の一点張り。彼らに悪意がないだけに、こちらが譲歩しない限り解決は難しい。

 例えばスポーツ。
 日本人的に考えると、スポーツにおける反則は「してはならないこと」だと思います。
 ですが国際的には、特にプロの世界では違う。
「反則とはペナルティという対価を支払えば、やってもいいこと」が国際的な認識だと思うのです。日本人的に判りやすく言えばプロレスの反則が、いい例でしょうね。「ワン、ツー……」「ノーノーノー」のあれ(笑)。

 敵味方入り交じってのサッカーが最も判りやすい気がします。
 敵の選手がボールを伴って守りの薄いところを攻め込んできたとき、ユニフォームや腕を掴んでも、足を引っかけてでも止めるのがプロ・サッカーでの常套手段です。それで敵側に与えられるのは単なるフリーキックですから。つまり、フリーキックという罰金を支払ってでも止める価値があるから止めるのです。
 逆に、露骨に敵を殴ったり蹴ったりして止めると退場させられるので、そこまではしない。これは、退場という対価がペイしないからに他なりません。
 さらに反面、敵がペナルティ・エリアにまで侵入し、このままでは確実に一点取られる。という場面ではPK覚悟で敵の体を止めます。あるいはキーパーでないのに敵のシュートを手で止めます。確実に一点を取られるよりは、まだ得点が確定していないPKのほうがまし。キーパーが止めてくれる確率に期待しよう。ひょっとしたら審判が退場で済ませてくれるかもしれない。などという損得勘定ですよね。
「サッカーは紳士のスポーツ」という台詞が長い間、理解できなかった妖之佑ですが。↑のことを考え、サッカー発祥が契約社会の欧米であることと併せ、今は反則まみれのサッカーが「紳士のスポーツ」であると納得してますよ(笑)。

 スポーツはゲームであり、反則それぞれに対して、それぞれ罰則が規定されており、それを支払えばチャラなのですから、そもそも「反則は悪ではない」と認識すべきなのです。
「反則=悪」であるなら、反則を犯した時点で勝敗が決まります。具体例では相撲がそうです。相撲における反則は即刻、負けを意味します。
 ですから、反則それぞれに罰則が細かく設定されている種目については「スポーツマンシップにのっとり正々堂々と」などという選手宣誓は、少なくとも国際大会では滑稽なパフォーマンスでしかありません。負け判定より軽い罰則がいろいろある時点で、その反則は「してもいい」ことなのですから。

 日本は、この国際スポーツの考えかたを他分野にも取り入れて交渉・取引すべきだと思います。
 一部の政治家や財界者が「誠意を持って話し合えば」というのは妄想が過ぎます。むしろ「相手は詐欺師」くらいの姿勢であたるべきでしょう。
 まあ、「誠意を持って話し合えば」って台詞はポーズだとは思いますよ。つか、本気でそう発言する政治家は、政治に向いてませんよね。

 ただ。
 それとは違い。
 日本人の誠実さを忘れてもいけないと思います。
 日本が国際社会での信頼を得てきたのは、この誠実さがあったからこそですから。
「Made in Japan」がブランドとなったのも、誠実な物作り精神の賜です。不良品が出れば無償交換、と言うだけでなく、そもそも「不良品は極力出さない」方針こそが信頼を勝ち取ったのです。アメ車を出し抜いて日本車が北米で売れたのも、日本の家電が欧米で売れたのも、日本のカメラが……以下同文。

 日本は、きっちり約束を守る。
 ただし、相手が守るとは限らないので対策をしっかり取っておく。
 この姿勢で臨むべきです。損な気はしますが、仕方ない。

 そして。
 付き合う価値のない野蛮で小ズルい下品なる国家とは絶縁すべき。
 そんな輩と絶縁しても痛くも痒くもない体制にすべき。
 でもあると思いますよ。