三隣亡 (旧暦 葉月十一日)

 単焦点レンズ装備の X100。
 ズーム・レンズ装備の X10。
 そしてレンズ交換式の X-Pro1X-E1

 とにかくフジの本気度が凄いわけで。

 フジのカメラと言えば、フィルム時代は、とにかくデザインで損をしている印象が強かったです。
 オーソドックスな一眼レフである STシリーズや、同じくオーソドックスなレンジ・ファインダーの GL690、職業写真家しか相手にしていない GX680 は、ともかく。他の製品群が気の毒だった。
 内容は良いんですよ。セミ版の GS645シリーズにフルサイズの GW。そして、コンパクトではカルディア・シリーズ。どれを取っても他社に引けを取らない性能・機能。でも、これらのデザインが何と言うか、やる気がなさげと言いますか。所有欲を刺激する力に欠けていました。

 そんなフジが、デジタル機になって化けましたね。デザインにも本腰を入れるようになったのか、たまたまそうなったのか。
 個人的にはネオ一眼の S602 で「あれ?」と感じ、S9000 で「こりゃ本物だ」と思ったわけです。迷走はしてましたけどね、S8000 とか特に(苦笑)。
 で、HSシリーズでデザインが安定、性能面と見た目との両方向からユーザーを攻めてくるようになりました。

 しかし、ネオ一眼の動向が序の口にすぎなかったのは、レンジ・ファインダー機を意識したデザインのXシリーズで嫌というほど思い知らされましたね。まさに老舗フジの本気度全開です。
 フジのレンジ・ファインダー機というと、TX-1、TX-2 がありました。が、フジ製フィルム機の宿命なのかどうか、デザインが微妙で、やはり損をしていたように思います。これの新品を買う予算があればライカMの中古かコニカ HEXAR RF を選ぶ、という人は多かったんじゃないでしょうか。気の毒な話です。性能面では文句なしでしたからね、TX。

 で、まあ。
 本気度全開のXシリーズで、フジのデザインは爆発したわけです。
 この外見なら欲しくなりますよねー。

 カメラは道具ではあるのですが。
 そこに所有欲を刺激する+αがないと、そうそう売れるものではありません。実用のみで考えてしまえば、フィルムならレンズ付きフィルム、デジタルならケータイでOK、となってしまいます。奢ったところで、フィルム、デジタルともトイカメラで充分、とね。
 スパッと割り切れるプロは別として、趣味人相手だと高価であればあるほど、この傾向は強くなるわけです。性能と質感(デザインを含む)と価格のバランスですね。
 世がすべてデジタルになり、ようやくのこと老舗フジがこれに気づいたのは、遅きに失したのか、不幸中の幸いなのか、はたまた単に滑稽なのか。

 デジタル機の中で長らく(買えないけど)憧れを感じていたのは、パナソニックの LC1、LC5、LXシリーズ、もしくはキヤノンGシリーズだったのですが。
 想いはフジXシリーズに、あっさり切り替わってしまいましたよ(買えないけど)。
 LX7? 要らん要らん(笑)。