社日、巣鴨とげ抜き地蔵大祭 (旧暦 葉月九日)

逆シャア』のパクり、やってきやがった。
(ラ・グラミスの歌舞伎っぽい指揮官が冷静な人で、よかったですね。いや本当に)

 マジで、無印→『Z』→『ZZ』→『逆シャア』と、順序よくパクりましたな〜。



 一年かけての集大成が何の余韻もないってのは、いったい何なんでしょうね。
 生意気に言いますが『AGE』は失敗作だったと思います。サンライズの、そしてガンダム・シリーズ中でも屈指の失敗作。

 AGE-1グランサはカッコ良い。
 AGE-2ダークハウンドもカッコ良い。
 クランシェもOK。
 ジェノアスも○。
 レギルスも、まあアリ。 
 シド単体は◎。
 
 つまり、メカは良いんだよな。
 楽曲も良い。
 物語の基本設定も可。
 最後、敵を倒すことではなく、皆を救うことこそが救世主である。とした落とし処はバッチリ。
 と言うようにパーツ、パーツは良いんですよ。

 なのに、なぜ失敗したか?
 簡単に申しますとね。

 一年通してダイジェスト編を視聴させられ続けた。

 ということに尽きると思います。
 何度もあちこちで言われていることですが、どだい三世代に渡る百年戦争を4クールで描くことに無理があったのですよ。しかもファーデーンで尺の無駄遣いしてたし。
 散々「百年に渡る長き闘い」と言ってたクセに、最終回を迎えてみれば残り三十数年を最終回のナレーション一行でかたづけやがった。ラスト三十数年は地球と火星の協力体制下での火星開発なのだから、戦争自体は六十数年で終結しているワケ。どんだけ、すっ飛ばしますかね。
 まさかとは思うが……番組を進めてるうちに脚本家が「フリットが百年も生きるはずがない」と気づいたのか?

「百年」などとハッタリかました挙げ句の体たらく。
 広げすぎた大風呂敷を畳めなかった、という典型ですね。
 そのクセ、往生際が悪いのか、ナレーションには「ひとときの平和」とあり、続編への布石っぽくしてますが……。

 百年戦争を描くなら描くで。
 やはり最低でも三世代それぞれに2クールずつは割かないと厳しいんじゃないでしょうか(まあ、キオは2クール貰ってましたが)。


 謎の侵略者UEの攻撃に対し必死に防衛するだけのフリット編。
 後半で敵の正体が棄民国家と判明、地球圏に潜むヴェイガンや裏切り者狩りの恐怖政治へ。
 ここまで2クール。

 半年休んで。

 恐怖政治下でのアセムとゼハートの交流と葛藤。
 イゼルカント様を加えての、地球連邦vsヴェイガンの構図から共存を探る道へ。
 ゼハートとイゼルカント様の退場を対価に戦争終結、和平。
 ここまで2クール。

 半年休み。

 闘いにしか目的を見出せない欠陥Xラウンダーの生き残り部隊とシドが合流。地球&火星に無慈悲な攻撃をしかける。
 敵側に人間性を持たせないことで単純明快な悪との闘いとする。本編のキオ編冒頭みたくノリノリのスパロボ路線まっしぐらでOK。
 ラスボスは本編同様、シドに取り込まれたイゼルカント・クローンで。
 ここに2クール。


 こんな感じのほうが、よくね?

 終盤を見てみると、キオとアセムの役目が被ってるんですよね。
 キオはセカンドムーンの状況を直に見て、火星との共存を求めるようになった。
 アセムはゼハートとの交流で、火星と手を取り合う道を心の底に描いている。
 つまり、ヴェイガン殲滅を目指すフリットに対峙するのは、ゼハートと友情を交わしたアセムだけで充分。決戦におけるヴェイガン側の最高指揮官がゼハートなので、よけいにアセムの役割が重要となります。
 この段階ではキオの役割なんぞ、ありゃしません。実際、中佐やオブライトさんが退場するときも役立たずでしたからね。
 キオの出番は別に用意すべきでした。

 少年姿のフリットをユリンが嫁力全開で優しく諭すシーンは良かったと思います。正妻であるエミリーの立場が、まったくないですけど(苦笑)。
 いや、アセム編冒頭を最後に本当にエミリーが空気でしたねぇ。出番ないのに、ED映像でシワクチャ顔のアップばかり流されて気の毒すぎます。

 ラストのナレーションから、やはり制作側には「EXA-DB と AGEデバイスは対をなすもの」という認識があったようですね。でも、それをきちんと描くことは、しなかった。
 これも欲求不満の原因です。
 例え話。
 アスノ家が実は「銀の杯条約」の影の立役者であり、EXA-DB の封印が万が一にも解かれた場合に備えた制圧システムとしての AGEデバイスを代々継承してきた。
 くらいの設定と描写があってもよかったんじゃないかな。

 そもそも、EXA-DB が失われた技術であり現在のパワー・バランスを著しく壊すものであるなら。
 やはり、それなりに現在の連邦が戦争下手であるという描写も必要だったんじゃないかと思います。
 ロボット兵器をロスト・テクノロジーとして描いた作品となると、同じサンライズなら『重戦機エルガイム』と『機甲界ガリアン』、そして『∀ガンダム』ですね。特に『∀』はモビルスーツ技術を持つムーンレイスに対し、19世紀相当の技術しか持たないミリシャ側がホワイトドールを始めとした発掘兵器で闘うという構図が秀逸でした。
 EXA-DB なんてロスト・テクノロジーを出すんですから、『AGE』にも、そういった工夫が欲しかったですね。


 終盤の(きっとスポンサーの怒りを受けての)テコ入れで、プラモは売れるかもしれませんね。
 グランサ、ダークハウンド、クランシェ、ジェノアスの動きは良かったですからなー。

 それにしても。
 ヴェイガンの衣服、特に軍服を着物風にしたのには何か意図があるんですかね?
 深い意味もないなら、やらんほうがいいと思うのですが。



 一年かけて得られた教訓が「あの脚本家だけは使うな」のみでは悲しすぎますぞ。