(旧暦 閏弥生四日)

 毎度好例、春の中古カメラ市に行ってきました。

 とは言え、毎回通っていることもあって、ジャンクで出てる中に欲しい機種は、もうなく。
 かと言って、ジャンクでない品を買えるほどの予算もなく(苦笑)。
 今年は何も買わずに帰るかな、と思いつつ。
 散々、会場内をうろうろして疲れきった頃に、ようやく一つ、見つけました。

 Tsugami-8

 見た瞬間、ビビッと来ましたね。
 つか、何だと思われます?

 Tsugami-8

 前後真っ二つに分かれます。
 これで一目瞭然。
 そう。妖之佑のこだわる、W8フィルムのムービー・カメラです。

 Tsugami-8

 鋭いかたはお気づきでしょう。
 普通、カメラというものはレンズ面と装填されたフィルム面が平行になっています。そうでなければなりません。
 しかし、このカメラはリールを見る限り、レンズ面とフィルム面は90度の関係です。これではダメです。

 Tsugami-8

 解決方法が、これ。裏蓋内側にフィルムの装填方法が説明されています。
 撮影面手前にて90度にフィルムを捻り、リール手前でまた90度捻るんですね。

 Tsugami-8

 背中。
 露出を決定するための参考表が付いてます。
 ファインダーの右側にあるのは、視野の切り替え。STが標準、Wが広角。レンズを交換したときに手動で切り替えるわけです。切り替えのメカニズムは、ちょっと面白い構造です。

 Tsugami-8

 右上の円いのがシャッター・レリーズとシャッター・ロックを兼ねてます。
 右下は ASA感度のメモ用。
 左上は、連続撮影⇔一コマ撮影の切り替え。
 左下はフィルム・カウンターです。

 Tsugami-8

 向かって左はゼンマイの巻き上げレバー。
 向かって右は動画撮影時のコマ数/秒指定。
 で、レンズのそばにあるのはレンズを取り外すときのロック解除です。W8カメラのほとんどがスクリュー・マウントなのに、こいつは生意気にもバヨネット・マウントです。びっくりだ。

 Tsugami-8

 ブランド名なのか製品名なのか(たぶん、その両方か)。
 ネットで調べても、この「ツガミ」という品や企業のことは判りませんでした。ゼンマイ式のW8カメラは、二眼レフオート三輪みたく、さまざまな工場から品が出てますから、そんな無名の品の一つなのかもしれません。
 ただ、それにしては作りがしっかりしています。「MADE IN JAPAN」の文字も誇らしげです。

 それにしても、普通のカメラみたく凸形で軍艦部を持ち、そこにファインダーを据えた横長のW8カメラなんて、思いもしませんでした(一般的には、W8カメラは縦長デザインのボディで、軍艦部など持たない)。ストラップ用の金具を見ても「首から胸にぶら下げろ」と言わんばかりですし。
 当然、撮影姿勢も普通のスチル・カメラ同様のはずで……面白いことをする所が、あったものです♪

 これは、京セラの SAMURAI 並みにユニークなデザインだと思います。なにせ、機能とデザインの関係が SAMURAI とは真逆ですからね。
 そう言えば、ジャンクの中の SAMURAI を手に取っていたとき、初老の男性が私に「それ、ビデオ・カメラ?」と訊いてきましたよ(笑)。