上弦 (旧暦 睦月九日)

 音楽を軸にした作品は、『マクロス』シリーズが有名ですが、こと音楽の癒し効果という意味に限っては『スイートプリキュア』は『マクロス』を越えたと思います。
 てか、『マクロス』や『マクロスF』は、もっとダイレクトに音楽が人の心を鷲づかみにして熱狂させる、という方向性でしたからね。シェリルの「あたしの歌を聴けえっ!」→観客の「おー!!!!」が顕著。それを実現するために、とりわけ『F』では劇中の楽曲がかなり上質でした。
(なお、『マクロス7』における音楽の力は、語る価値無し)

 数年前のアニメ作品『神曲奏界ポリフォニカ』の一番ダメだった点が、まさにここなのですよ。
 音楽の力を軸にしているクセに、劇中BGMが超安物だったという罠。深夜枠だからといって、あれは酷すぎた。

 現在放送中の『戦姫絶唱シンフォギア』に危惧しているのも同じく、ここで。楽曲にどれだけカネかけられるかが、この作品において重要だと思うのですよ。単に歌手にヘッド奈々を起用しただけで成功するほど、たやすくはないと思います。
 ただなー。『シンフォギア』に関しては、すでにがっかりもしてるんですよ。歌を歌うことが自身の肉体を犠牲にして、しかも下手すると生命すら落としかねない捨て身の刺し違え戦法だってのがね。これは歌に対する、音楽に対する冒涜ですよ。『スイート』を観た者の一人として、強くそう感じます。
 無理に歌なんぞ絡めずに、単純に少女たちがアーマーを着てバケモンと闘うアニメにすりゃよかったのに。
 まあ、こーゆー展開をしておいて、「そんな闘いかたはダメ」「そんな歌の使いかたは、まちがってる」ってな持っていきかたをするかもですがね。

 アニメではないですが。
響鬼』も楽器を用いた「音撃」という名の清めの儀式で妖怪を退けていました。これは音楽として前面に押し出したものではありませんでしたが、音を浄化の力として扱った点で面白い作品でした。
 同じPによる『大魔神カノン』の「いのりうた」は上手く描かれずに終わって残念な結果でしたけどねぇ……。

 いろいろな作品群と比べて。
 やはり『スイート』は素晴らしかったですね。