初地蔵、十方暮入、巣鴨とげ抜き地蔵大祭 (旧暦 睦月二日)

 朝日新聞朝刊に「世は海賊流行り」という内容の特集記事があったのですが。

 その実例としてロングセラー&爆発的人気の『ONE PEACE』が挙がるのは、まあともかくとして。
海賊戦隊ゴーカイジャー』と『モーレツ宇宙海賊』を『ONE PEACE』と同列に扱うのは、それぞれテレ朝と朝日ノベルスだからという手前味噌なのでしょうか。さすがに苦笑しました。

 記事の中で、海賊が今、英雄視されているのは、そもそも元をたどれば大英帝国の陰謀だとあり、それはなるほどと思ったものの。
 日本の今の「海賊=英雄」という捉えかたには、この大英帝国云々は関係ないと思います。海賊は「賊」であり、カッコ良く見せる姿をしていても、結局は悪事ですからね(その意味からすると、麦藁海賊団もゴーカイジャーも、盗みを働かないのになぜ「海賊」なのか不思議です)。

 日本で古くから有名な海賊と言うと……『宝島』のシルバーと、『ピーターパン』のフック船長あたりでしょうか。どっちも紛れもなく悪党ですよね。
『宝島』を元にした東映アニメ『どうぶつ宝島』のシルバーも、かなりの悪役でしたし、やはりこの頃の日本での「海賊」というのは大英帝国の陰謀の影響は受けていないように思えます。

 では、日本で海賊が英雄になったのは、いつからか?
『ONE PEACE』からでないのは明々白々です。
 やはり松本零士作品からではないかと、個人的には思います。『キャプテン・ハーロック』と『クイーン・エメラルダス』ですね。
宇宙戦艦ヤマト』を発端とした松本作品大ブレイクの中、宇宙海賊であるハーロックの存在感は大きかったです。ちゃんと海賊行為もしつつ(アルカディア号は、地球政府に属する貨物船をしっかり襲ってた♪)、それでも彼は英雄でしたからね。

 ということで、私の考えではヒーローとしての海賊というものを確立した有名処は、松本零士さんだと思うわけです。
 ぶっちゃけ、盗みを働かない麦藁もゴーカイも嘘臭いと思うですよ。「海賊」という単語の定義を変えすぎですよ。

 記事で松本作品の存在を完全に無視したのは、いわゆる大人の事情なのか、それとも記者が無知だったのか。
 海賊英雄化の先駆者だというのに、これも時代なんでしょうか……。